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2012年2月 7日 (火)

【記】:村内美術館

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先月、村内美術館に行ってきた。


東京都の西側、八王子市にある私立美術館だ。
村内家具のオーナーが収集したコレクションを展示する美術館。

私立とは言っても規模は半端ではない。
バルビゾン派を中心に印象派まで含め、140点を常設している。


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美術館といっても、場所は村内家具店の4階だ。

家具店と美術館の共存も珍しいが、日本では百貨店と美術館の共存も見られる。
欧州では考えられないことだ。

家具を買いに赴いたのではないのに、家具店の中を通らなければならない。
店員の”期待の眼”をよそに、4階を目指しエレベータを上がった。

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コレクションは素晴らしいの一言だ。

これだけの絵画を収集するのに、どれくらいの資金が必要だっただろう。
1982年開館とのことだが、当時家具販売がいかに利益を上げていたかが良くわかる。

今では家具販売も、国際競争にさらされ厳しい状況だ。
バブル期までの、良き時代のコレクションといったところか。


私は富の集中というのは、決して悪いことではないと思っている。
それは、欧州を旅すればすぐにわかる。

貴族や富豪が集めたり、作らせたりした美術品が、国の宝、人類の遺産となっているからだ。
みんなが平等に貧乏な社会では、こうした文化の高みも得られないだろう。
民主主義の行き着く先が、悪平等の社会主義、共産主義にならないことを祈るばかりだ。

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バルビゾン派は、19世紀にフランスのバルビゾン村に画家が集まり始まった一派だ。

バルビゾンの七星と呼ばれる7人が中心となった。
コロー、ミレー、テオドール・ルソー、トロワイヨン、ディアズ、デュプレ、ドービニーだ。

自然主義的、写実的な画風が中心で、風景画や農民画が多い。


西洋では、絵画といえば教会の宗教画や貴族の肖像画が中心だった時代が長い。
風景というものは、こうした主題の副次的な位置づけだったのだ。
つまりただの背景であり、オマケだ。

その後、風景を独立した絵画として描きはじめたのはオランダの画家たちだった。
しかしそれはあくまで屋内、アトリエ内で描かれた。

こうしたオランダ風景画に影響を受けつつ、屋外で写生というスタイルを取り、自然と向き合ったのがバルビゾン派だ。

キャンパス、三脚、絵具箱を野外に持ち出したのだ。
自然は崇拝すべき対象となり、その美しさが絵画として結実した。


私は若い頃、バルビゾン派は好きではなかった。
ただの田舎の風景画は、血気盛んな若者にとっては何か刺激が足りない気がした。

中世の宗教画や貴族の肖像画は、キリスト教国ではない日本では逆に刺激的なものだった。
また、20世紀の印象派からキュビズム、抽象画などには、”絵画芸術の爆発”をコマ送りで見るようで、本物の絵画を見るたびに体が熱くなるほどの衝撃を受けた。

バルビゾン派は、そんな刺激的な絵画史のスマイルカーブの底にあって、なんとなく物足りなかった。

しかし、歳を重ねると見方も変わってくるものだ。

バルビゾンの画家たちは、神は教会の中にだけいるのではなく、自然の中にもいると感じていたのかもしれない。
日本人にはなじみのある汎神論的な感覚だ。

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村内美術館の中で、最も好きな絵は、コローの小さな一枚だ。

コロー『ヴィル・ダヴレーのカバスュ邸』
1835-40年
油彩、カンヴァス
35.0×26.5cm
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カミーユ・コローは、画家としては珍しく、裕福な家に生まれた。
コロー家は、この”ヴィル・ダヴレー”に別荘を持っていたのだ。

ヴィル・ダヴレーは、パリから南西に十数キロの避暑地だ。


私はこれに似た風景を若い頃よく見ていた。
それは、私の田舎の別荘地を奥深く入ったところにあった。

森の中を真っすぐ伸びた下り坂。
その先に少し開けた明るい空間。
そこには、天国ではないかと思うほどの、美と静寂があった。

場所は違えど、コローもまた同じような風景から美と静寂を切り取った。

とても小さな絵だが、心をとらえて離さない魅力がある。


村内美術館には、もう何度も訪れた。
私はこの絵に逢いたくて、村内美術館に足を向けると言っても過言ではない。

今度行ったときは、この絵のレプリカを購入しようかと思う。


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